脱水汚泥燃料化施設が竣工
脱水汚泥燃料化実証事業(NEDO共同研究事業)がいよいよ今春スタート
造粒乾燥方式による脱水汚泥燃料化本格プラントは全国初
汚泥処理コストの削減と温室効果ガスの削減が主な実証テーマ
バイオソリッドエナジー株式会社(所在地:山形県新庄市、代表取締役社長:小笠原 謙一)、日本製紙株式会社岩沼工場(所在地:宮城県岩沼市、取締役工場長:大古 哲己)、および山形県新庄市(市長:山尾 順紀)の三者と、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(理事長:村田 成二)との間で締結された共同研究契約(造粒乾燥法による脱水汚泥燃料化システムを活用した熱利用フィールドテスト事業)に基づき、かねてより関連施設整備を進めてきましたが、その核となる新庄脱水汚泥燃料化施設が2月中旬をもって竣工の運びとなりましたので、以下の通りご報告いたします。
【事業の概要】
公共下水処理施設やし尿処理施設から発生する脱水汚泥は、現状ではそのごく一部が有効利用されているにすぎず、ほとんどは産業廃棄物として最終処分されています。有効利用用途も、コンポスト化肥料、セメント化原料、炭化燃料、といった内容にほぼ限定されています。
また、脱水汚泥の処分義務を負う自治体は、その長期安定的な処分方法の確保を求められていると同時に、その行政コストの削減およびそれに伴う環境負荷の最小化というニーズに直面しています。
しかし、最終処分に関しては、陸上埋立処分場の残余年数が非常に短いということに加え、汚泥焼却炉の新設・設備更新コストおよびランニングコストが自治体の財政事情の観点から多大な負担となっていることから、その継続性に大きな課題が生じています。一方、有効利用に関しても、最終生成物の販路の確保(コンポスト・炭化設備)、コスト(炭化設備)・処理施設が偏在している(セメント工場)などといった大きな課題を抱えており、いずれもその普及拡大にはいたっていません。
そこで、本事業は、上記の脱水汚泥をめぐる現状と課題に対するソリューションの1つとして、公共下水道終末処理場およびし尿処理場から発生する脱水汚泥を、木チップを主燃料として造粒乾燥させてペレット状の固形燃料を生成し、それを製紙工場の石炭ボイラーの補助燃料として利用することを通じて、脱水汚泥の効率的な有効利用を促進させるための実証データの収集、課題の整理およびそれらの解決方法の提示を目的としています。
【本事業が期待する効果】
本事業が期待する効果は以下の通りです。
脱水汚泥を拠出する自治体に対して
(1) 安定的な処分先の確保
(2) 長期的な視点での行政コストの削減
(3) 環境負荷の低減
固形燃料利用先に対して
(1) 企業の社会的責任(CSR)を果たすこと
(2) 環境負荷の低減
地域住民に対して
(1) 温室効果ガスの削減
(2) 陸上埋立処分場の延命
(3) 雇用の拡大
全国の自治体に対して
(1) 汚泥処理に関する選択肢の提供
【実証事業の内容】
■脱水汚泥の収集に関して
地方都市において脱水汚泥処理プラントを導入する場合には、スケールメリット追求の観点から広域処理が前提となりますが、含水率が大きい脱水汚泥の運搬コストは無視できません。そこで、本事業では、山形県新庄最上地域およびその近接地域から発生する脱水汚泥を対象に、広域処理に伴うスケールメリットと運搬コストの最適な組み合わせについて実証を行ない、最適なバイオマス収集運搬システムの有効性を検証します。脱水汚泥の年間収集量は9,000トン以上を予定しています。
■脱水汚泥の燃料化に関して
脱水汚泥燃料化装置として、処理能力30t/日の造粒乾燥設備(発注先:新日鉄エンジニアリング株式会社)を使用します。この装置から生成される燃料は、3〜4mmのペレット状でハンドリング性が良く、含水率も8%程度と低いために、臭気が比較的低く抑えられ、長期保存時においても、発酵等の変質や自然発火の心配はありません。また、脱水汚泥が本来有するカロリーを損なうことなく燃料化されているため、4,000kcal/kg前後と石炭の約2/3程度の熱量を有します。
さらに、本装置の基本仕様において想定している主燃料はA重油ですが、本事業においては、主燃料として木チップを用いるものに改変し、燃料製造に関わる温室効果ガスの削減量および燃料生成コストの削減効果についての実証を行ないます。前述のように、本設備において燃料化する脱水汚泥は日量30トンで、年間では9,000トン以上を予定しています。また、燃料生成に必要な熱風発生炉の燃料として消費する木チップは日量7.5トンで、年間トータルで2,250トン程度を予定しています。
■固形燃料の石炭ボイラーでの利用に関して
日本製紙株式会社岩沼工場に設置されている石炭専焼ボイラーにおいて、燃料の一部として脱水汚泥由来の固形燃料(バイオマス系燃料=カーボンニュートラル)を使用し、化石燃料である石炭の削減効果およびそれに伴う温室効果ガスの削減効果についての実証を行ないます。石炭ボイラーに投入する脱水汚泥燃料は、日量平均で6.51トン、年間では2,000トン弱を予定しています。
■本事業が期待する温室効果ガス削減に関して
固形燃料生成時に消費する電力等から算出された温室効果ガスの発生量は、脱水汚泥1トンあたり約70kg-CO2と見込まれます。一方、脱水汚泥1トンから生成される燃料は石炭換算量で150kgに相当し、これを全量石炭代替として用いた場合、化石燃料由来の温室効果ガスをおよそ360kg-CO2分だけ削減できる計画です。したがって、本事業が期待する温室効果ガス削減効果は、脱水汚泥処理1トンあたりおよそ290kg-CO2です。
なお、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構との共同研究契約終了後は、バイオソリッドエナジー株式会社が本格的に脱水汚泥燃料化事業を開始する予定です。
【実証事業幹事会社の概要】
会社名:バイオソリッドエナジー株式会社
所在地:〒996-0053 山形県新庄市大字福田字福田山711番地162
代表者:代表取締役会長光山 昌義
代表取締役社長小笠原 謙一
設立:2007年3月
資本金:400万円(プラント稼働後に増資予定)
主要株主:株式会社山形県上下水道施設管理
最上バイオマスエネルギー供給株式会社
新庄最上清掃事業組合
山形県新庄市